update info and daily memo ク ラ フ ト マ ン シ ッ プ 2001 Sep. |
9.1/2001 | ■ ♪パラッパラッパラッ・パ〜 |
▼「ぶムぎゅン」というヌケのいいベース(?)の音からしてほかのゲームとちと違うところを聴かせていた前作だったので、今回はどんな音ではじまるんだろう? なんてひそかに期待してた僕でしたけど、それはやや穏やかなスクラッチからもう当然という具合にはじまるのでした。パラッパラッパー2です。
しかもにくいことに「ぶムぎゅン」はステージ1トラック冒頭にちょっとリプライズ。わかってらっしゃる。
ちょうポップだった前作の曲にくらべて今回ソウルっていうかファンクっていうかジャンルはどうなるのかよくわかりませんが、ベースをぐいぐい動かすたいへんカッコイイ曲ぞろいになってますですね。今回パラッパ君を奮い立たせるフレーズ(ウンジャマラミーでいうところの「カジノ」、マーティ・マクフライでいうところの「チキン」、トミーとマツでいうところの…)が「オトナ」なんでトラックもやや深み渋み黒みを増し増してる感じでしょうか(そのわりにPSGの8ビットチューンもありますけど。ちなみに「オトナ」は今回の黒幕(なのか)のちょっとした伏線)。僕は好きです(あと今回各ステージのキャラクターとラップスタイル(?)を前作と相似させてて、そのへんもたのしかったりします。ニワトリ先生に該当するキャラがいないのが残念です)。リズムアクションとしてもラッピンインジケータ(なんて名前か知りませんが曲調の変わるrappin' COOL 〜 AWFULのあれ)のランクアップ/ダウンでカットインが入るようになったのが確実に気持ちよくて僕はすごく好きなのでした。
ただちと思うのはステージデモがムービーでなくポリゴンキャラの演技になったせいか、前作とかラミーのムービーのあの破天荒さが薄れちゃいましたね。食い足りない感じでちょっと残念かもです
ところでパラッパラッパーがほかのリズムアクションと違うところはオリジネイターであることももちろんながら、「ステージでプレイヤーがボタン操作しているパートがじつはかなり少ない」ということもあるんですよね。パラッパラッパーの各ステージは、「レッスン」と呼ばれる4つ(とか5つ)のプレイパートに加え、各パートをつなぐブリッジ(ステージキャラのソロ)の部分をとても長くとる展開になっています。そしてしかも、これがパラッパをパラッパにしてるとこだと僕は思うんですが、プレイヤーがこの操作していないブリッジのパートを「プレイ」していないかといったら、そうじゃないんです。もしかしたらわれわれはこのブリッジのぶぶんを、操作しているパートと同じくらい「プレイ」している。われわれはリズムアクションをプレイしながら、アクションとアクションの"あいだ"をも「プレイ」しているはずです。
われわれの星のダンスミュージックは、このような様相を「グルーヴ」と呼んでいます。そしてそういわれていないだけで、優れたコンピュータゲームもまた、それぞれ固有の「グルーヴ」を持っているし、持つべきだと、僕は信じる(I gotta believe)のでした。
9.3/2001 | ■ しかしそれも、まだほんの始まりにすぎないのだった。 |
▼リアルとバーチャル、揺れ動く気持ちを歌にしてみました。dotimpactです。今月の「SFマガジン」のゲームコラムがなかなかおもしろかったですよ。
時節柄FINAL FANTASY Xを紹介してるんですけど、ライターの宮 昌太郎さんは、FFXを上遠野浩平『ブギーポップ』シリーズや中村恵理加『ダブルブリッド』と並べて、「まったく同じ感触」がある、とちょっとおもしろい観点から言うのでした(紙面の都合上かやや強引な論旨ではあるのですけど)。
みっつの作品に通づる感触は、「特権的な語り手による、詩的にすら感じられる“決めゼリフ”」、のようなものによって特徴づけられている、とコラムは指摘します。僕はまだプレイしてないんで知らなかった(そしてそう聞いてなんだかかなり興味がでてきた)のですけど、こんかいFFXの物語は、主人公ティーダがひとり飛ばされた異世界を冒険しながら成長していく、というゲームとしてはたいへんまっすぐなプロットでありながらも、いっぽうイベントの要所で、それをすでに取り返しのつかない過去として述懐するティーダ自身の“語り”を挿入していく、という構成になっているんだそうです。そしてヤングアダルトさん向けのキャラクター小説である『ブギーポップ』『ダブルブリッド』(これは僕読んだことないですけど)もまた、物語は登場人物たちが目前の事件に立ち向かうエピソードを追いつつ、それがその世界においての必然であったことを、ことあるごとに示すのです。おそらく読者はその「すでに終わっている物語」のほうに、切ない思いを馳せているのではないでしょうか。なるほど、たしかに思い当たるふしはあるなと、僕は思いました。
いっぽうそのころ、小説トリッパー2001年夏季号の対談にて東浩紀さんはこう指摘します。
実は、Keyの各シナリオには妙な特徴がある。たとえばヒロインが病気にかかったり事故に遭ったりして瀕死の状態になるという設定があるんですが、そこで、病気の名前や症状、ケガした場所などの情報がまったく触れられないで話が進むんですね。(…)それなのに、たとえば『Kanon』の栞シナリオだと、「奇跡は起こらないから奇跡っていうんだよ」とかいう決め台詞があってですね(笑)その台詞ひとつで消費者はめろめろになって号泣しているわけですよ。
なるほど、たしかに思い当たるふしはあるなと、僕は思いました。あとさいきんのギャルゲーとかエロゲーとか美少女ゲームとかが、血なまこになってゲームのテーマソングを作り出そうとしてるのもそういうことかもしれませんね。特権的な立場から世界のありようを決定するなら、音楽以上のものはないはずです。
そういえばFFXもゲームのテーマソングを作ってますね。なるほど、たしかに思い当たるふしはあるなと、僕は思うのです。
9.10/2001 | ■ グループ・クォンタイズ |
▼9月8日にはWIRE01 supported by PlayStation2 x SEGAのために雨に濡れながら横浜アリーナに行ったかと思えば、踊りながらずっしりと汗を掻きながらハイネケンとエビアンとカルピスウォーターを飲みながらヴェトナム麺とケバブを食べながらチュッパチャップスを舐めながらRezをプレイしてきたdotimpactです。堪能しましたですわ。WIREはまあおいといて、Rezの話。
(先に言っちゃうと)UNDERWORLDのちょう有名な曲名からそのタイトルを戴いたんだろうRezとは、United Game Artistsが以前からその製作を微妙にほのめかしていた3Dシューティングであり、かつそれはかつてないかたちで「音楽」をその核に据えたコンピュータゲームである、というところまではわれわれに伝えられていたところだったわけですが、実際に触れる形でヨノナカに示されたのは今回がはじめてだったはずです。そしてほかでもなく、Rezは「触ると圧倒的にわかる」タイプのゲームでありました。ていうか僕はこのゲームの行方には斜に構えて見てるとこがあったんですけど、触ってみるやもう、次に触れるのはいつだろうと考えるくらいです。
まずもっておいて、これはたとえばオトッキーのころから(もっというと『Video Game Music』までさかのぼったほうが正確かも)、幾度となくチャレンジされてきた、「シューティングゲームを音楽にする」というアイデアに、ようやく納得のいくデザインが与えられたゲーム、なのでありました。(これも先に言っちゃうと)Rezは3Dシューティングとしてのシステムをパンツァードラグーンシリーズに準拠してまして、そのパンドラシリーズがきわめて説得力のある形で3Dシューティングのデザインとして示した「(マルチロックオン)ホーミングレーザー」を、Rezはうまいこと「シーケンサー」へと昇華させてるんでした。
複数のターゲットを順にロックオンするというシーケンス、ターゲットロックオンの後にレーザーを放つというシーケンス、そしてホーミングするレーザーが次々にターゲットに着弾するというシーケンス。「(マルチロックオン)ホーミングレーザー」には、プレイヤーがそれぞれ「自由」に行うプレイの中にも、このようないくつもの「シーケンス(順序関係)」が発生しているのです。しかもおもしろいことに、この「シーケンス」そのものはプレイヤーが本質的には意識すべきものではないのであり(ロックオン順によってボーナスが発生する、とかはありますが、これも結局システムが用意する順序に従うという意味で、意識によるものではないのです)、これはキモチよくなるかぎりにおいては、シーケンスをどんなふうに実行してもかまわないらしい、ということをRezは発見したのでありましょう。Rezでは、ロックオンノーティファイ音が、レーザー(かなんか、よくわかりませんけど)発射音が、ターゲット破壊音が、バックトラックに常に同期して(というか、クォンタイズされて)自律的に、「プレイヤーとはほとんど無関係に」リズムを刻むのでした。でも、「ホーミングレーザー」がそうであるように、プレイヤーはそのリズムを「自分の操作の結果」だと信じることができる。プレイヤーは特別なことをなにひとつしないまま、プレイの結果を「音楽」として受け取ることができるわけです。
あとフツーのシューティングと違って、人型のプレイヤーキャラクターが武器とかを持ってませんで、両手ぶらーんの体からよくわからない仕組みのままカクカクまがるレーザーが発射されるのが、よく見るとおもしろいです。とくに横を向いたり後ろを向いたりしたときの微妙なポーズ! プレイはできませんでしたが高次面で、その立ち泳ぎしてるみたいな後ろ向きポーズで、多量のホーミングミサイルをさばいていくシーンがあって、そこをすげえプレイしたく思ってます。
なんてまあ、リクツは置いておくとしても、これはじゅうぶんキモチいい。しかもすぐわかる。会場では「セガのPS2初参入ソフト!」てことしかインフォメーションされてなかったんですけど、実はドリームキャスト(註:昔セガが生産していたゲームハード)にも同時発売されるそうなんで、これはみんなで楽しみにするとよいとおもいました。
▼関係ないですが、WIREのあと秋葉原に遊びにいって、メッセサンオーでラブひなアドバンスのソフトを手にとって裏の説明書きを読んでたら「アクシデント度が上がるとラブ度も上がるぞ!」ってかいてあって、あーそれって「つり橋効果」って言うよねと思いました。わ、ホントに関係なかった。
9.26/2001 | ■ カモン ジオキャリバ ディシズ ティームリーダ |
▼夏のロスタイムも終わりだと言わんばかりに西高東低の(それはいいすぎか)風が西北西から吹き、半袖を着てきた友人はしきりに寒がるのですが、それでもわれわれは東京ビックサイトへ向かうのでした。第39回アミューズメントマシンショーです。
昨年に続いての見物(感想レベルでいうと、去年より人が多かったような…)だったんですけども、「単に足が向かった」とかなんとかいいかげんなことを言ってた前回にたいして、今回はスターブレード プロジェクトブループラネットをプレイする、というプライオリティの高いミッションがあった僕です。でも連れ添いのaci君が「じゃまず、タイトー。」というので、まずタイトーブースへ。
タイトーブースでプレイしたのは、巫女パニオンが二人オプションで張り付いてました式神の城。アルファシステムがつくったシューティングゲームですな。先発のケイブとか彩京のシューティングゲームの要素をまぜた感じで、なんか「ゲームショーで新しいゲームを目の当たりにしている!」ていう新鮮さがなかったのが残念です。あでも、主人公(♂)キャラの式神(画面の敵を追尾してやっつけまくる。特に能力制限なし?)がめっぽう強くてボタン押しっぱなしで画面の敵をほとんどかたつけてくれるので、プレイヤー敵倒さなくていいというか、なんか「合法的に純粋弾避けゲームになってる」、みたいなふうに見えたのがちょっと新機軸だと思いました(じっさいは式神消してノーマルショットのほうがいいときもあるんでうそですが)。なんかちょっと踏み越えた感じがしなくもないです。
あと、AMショーでゲーム攻略したり稼ぎを試したりする人ってホントにいるんですねえ。
「じゃ、次はセガ。」ということで、aci君の目的は知れるというものですが、そのとおりで続いてセガブースの斑鳩(イカルガ)(トレジャーがつくってるシューティングですな)をプレイしたのですが、これが。
なんというか、オーパーツを目にしている気すらしましたよ。完璧な画面と何にも似ていない映像と、いままでなかったのが不思議なくらいのシステム。特にゲームシステムは、前作レイディアント・シルバーガンよりも、ひとつのゲームとしてのまとまりを得ているところが僕はすごく気に入りました。3面までの参考出展バージョンでしたけど、そこまでがもうとんでもなく仕上がっていたんで、最終的にどんなものになるのかが死ぬほど期待されます。…死にますから!!
「ただ、難易度までレイディアント・シルバーガンを超越してるのがちょっと…」とはaci君の弁。
aci君が斑鳩から離れようとしないようだったので、それから僕はこっそり抜けてスターブレード プロジェクトブループラネットの行列に並んだのでした。行列そのものはせいぜい20人くらいしか並んでないんですが、なにぶん試作筐体一台まわしでプレイ/プレイヤー交代をしてくので僕が並んだときには「140分待ち」なんて何事かと思うような待ち時間になってまして、つまりそれを僕は待ちました。
ただたぶん、じっさいには140分も経過しなかったと思いますよ。さて。救われたことに、O.R.B.S.に搭乗してドームスクリーンの画像が動き出した瞬間から、いったい自分が何を140分も待っていたのかがわかったのでした。すでに言わずもがなですけど今回参考出展されたスターブレード プロジェクトブループラネットは、ドーム型スクリーンに映像をリアプロジェクションすることでプレイヤーの前方視界を完全にカバーする特殊筐体(O.R.B.S / Over Reality Booster System)でプレイするゲームになっています。じっさいプレイすると一挙にわかるのですけども、視界の周縁に映像があると、もうびっくりするぐらい脳がだまされます。移動するし、臨場します。プレイ中上下左右首を回して敵を探すことになるのも、われわれが体験する「はじめてのあたりまえの感覚」でありましょう。今回サウンドシステム(5.1デジタルドルビー)の感触はあんま印象に残ってないんですけれども、本気でセッティングすれば、さらにとんでもない効果を得られるんではないでしょうかね。
さらにいうとこのシステムの最大の魅力は、「かつてないほどゲームの映像を間近に感じられる」というところなんじゃないでしょうか。いやじっさいかつてないほど物理的に間近ではあるんですがそれはともかく、プレイヤーはレーザー兵器のキャノンサイトを操作して敵を撃墜してるんですけど、主観的にはほとんど手でなぎ払っている感覚がありました。といって狭苦しい感じなんではなくて、なんだか距離感がキャンセルされるみたいな奇妙な映像感覚であります。そうだな、前作スターブレードの映像が望遠鏡で覗いた宇宙空間だったとすると、スターブレード プロジェクトブループラネットの映像はいわば顕微鏡で覗いた宇宙空間て感じでしょうか。なんのことだかよくわかりませんが、なんとなくそんな感じです。
…AMショーは来年も行こうと思いつつ、その夜は冬ふとんを出して寝た僕でした。