西島高校

 ある年、不思議な水晶球のようなものが、全世界で発見された。直径3センチ程度の透明な玉で、 何と、人間の精神波のようなものに反応して、生命体となるのである。一体何のためにつくられた モノなのか、誰がつくったモノなのか、全く不明。超古代文明の遺産ではないかというのが一般的 な説である。この玉は「方丈」と名付けられている。その昔、方丈研究の第一人者であった繁良の 父が名付けたのだそうだ。

 この方丈、普通はただの玉なのだが、近くで強い精神活動が起こると、それに同調し、活動を 開始する。早い話、「憎しみの念」なんかを発した人間が近くにいると、その人間にトリツキ、 暴れだすのである。その念が強ければ強いほど、方丈は力を増す。方丈の被害に悩んだ政府は、 密かに方丈に対抗できる組織、「エージェント」を作り上げた。エージェントのメンバーは格闘技 の達人から超能力者まで、赤ん坊から年寄りまで様々である。西島高校の中には、政府公認 エージェントの高川支部が存在する。繁良・香子・健は、高校生エージェントなのである。

 今回、方丈はビル建設のため切り倒されるはずだった大木にトリツイタのである。

「木にも精神活動がある訳ねー」

 蛇のような動きで攻撃をしかけてくる何本もの大木の枝を、香子は器用に避けつつ、ぽつりと 前述のセリフをもらした。わたわたと攻撃を避け、後ろに飛び退いた健は、何だかちゃっかり 攻撃の届かないところに立っている繁良に向かって叫んだ。

「ど~しよ~、繁ちゃあ~~ん。」

他の二人の様子を相変わらず冷たい目で見つめていた繁良は、

「選択は二つ、木を破壊するか、方丈を破壊するかですが…ちなみに楽なのは、木を破壊する方。」

とあっさりと答えた。

「ラクなの賛成!」

「ラクなの反対!」

SAVEしたところから

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更新日:2003年9月8日
管理人:CHI